人工授精
妊娠させるために
牛の発情に合わせて人工授精を行います。
授精すれば100%妊娠するわけではありません。
日頃の管理や牛の年齢など影響受けますが、
排卵のタイミングに合うとかなりの確率で妊娠します。
人工授精の流れ
直検して卵胞や子宮の収縮を確認
直腸に手を入れて腸間膜の上から子宮や卵巣を触る直検(ちょっけん)をします。
卵巣の中の卵胞が排卵間近か、子宮が収縮しているかを確認できます。
直検を行うと膣から透明な粘液がたくさん出てくることがあり、
その状態は良い発情が来ているとすぐ判断できます。
授精に使う道具の準備
人工授精に使う注入器です。
この中に精液のストローを入れて膣から挿入します。
精液の入っている細長い筒状のものです。
ストローといいます。
普段は保存タンクに入れて冷凍しており、
人工授精の直前にお湯に入れて溶かし、注入器に入れて使います。
精液ストローをセットした注入器をシース管という透明なカバーを付けます。
注入器は頸管を通って子宮まで挿入するので汚れないようにしなければいけません。
直検に使うビニール手袋に入れて持って行くことにしています。
注入器を入れる前に陰部の汚れをきれいにするために脱脂綿を持って行きますが、
授精する前に手を使うので耳の上に挟んでいます。
これで準備は完了です。
注入器の挿入
まず直検と同じように直腸に手を入れて
腸間膜の上から頸管をしっかりつかみます。
もう片方の腕で牛の陰部の汚れを拭き取り、
注入器を挿入します。
頸管の入り口は細くなっていて、中にはひだのようなものがあります。
その中を注入器を通し、頸管を通り抜けたところで精液を注入します。
注入器はとても細長い注射器のような構造なので
注射するように使うと注入できます。
人工授精の終了です。
慣れるまで大変なことも
頸管を通すのは慣れると短時間でできるようになりますが、
頸管が少し曲がっている牛や発情の様子によっても通り具合が変わります。
また授精中に牛が嫌がってお尻を動かしたり、
ぐっと力を入れられると直腸から頸管をつかむのが難しくなって手を離してしまったりします。
はじめから上手な人もいますが
慣れや経験が大事です。